「神は我々を天の上、地の下に置かれた。下を向けば地を観察し上を見やれば天に思いをはせるようにするためである。
空を見あげ 天球の感嘆すべきしくみについて深く考えをめぐらせるとき我々は天文学者となる。
一方、下を向いて地を見つめ その広さを測ろうとするとき我々は地理学者となる。
このふたつの学問を通して人間はこの世界にふさわしい住人となるのだ」
ヘンリクス・ホンディウス「世界の新舞台」(1639年)
もうずいぶん前のことになってしまいますけど、DNPミュージアムラボの『体感する地球儀・天球儀展』に行ってきました。
ああ、やっぱり私こういうの好きだ!というのを叫びたくなるような展示でございました。
▼Globes in Motion フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展
展示されていたものの解説をここでやっても仕方がないのでここでは私が感じたことを書くことにします。
私はジョン・ミルトンの「失楽園」が好きです。私の人生に大きな影響を与えた2つの叙事詩のうちの一つです。私が失楽園を好きになった理由をざっくりと言うと「人間って良いな!」です。アダムとイーヴが受けた祝福と、それが失われてもなお強く生きようとする姿勢がね!もう本当に素晴らしいのですよ。私もアダムとイーヴの子孫だからどんなに厳しい状況においても生きる道を選ばなければならないと思うようにさせてくれる、そのくらい私の生き方に影響を与えた叙事詩です。
実はこの『失楽園』こそが、私が今天文学に興味を持っている大きなきっかけを与えてくれたのです。『失楽園』の作者ミルトンが生きていた時代がちょうどガリレオが生きていた時代と重なっており、人々の世界の見方が天動説から地動説へと大きく変わっていく時代でした。そんな時代に書かれた『失楽園』もやはりミルトンの世界や宇宙への興味を反映したのか、アダムやイーヴも天体の動きや世界に対する興味をしっかり持っている人物として描かれています。ああ、こういうカップルって理想的ですよね…可愛いなあ(*’▽’)
って、私の萌えはどうでもいいのですよ。とにかく私がここで言いたいのは、世界に対する興味はきっと人間が知性を手に入れた時からずっと持ってたんじゃないかということです。
冒頭で引用したヘンリクス・ホンディウスの言葉は、展覧会の会場に掲げられていたものです。私は思わずこの言葉にきゅんきゅんしてしまいましたね。私もまた、レベル1くらいの天文学者、地理学者でありたいものです。今の時代は世界が広くなりすぎているので私がどこまで世界を広く深く探求できるかはわかりませんが、ゆっくりじっくり世界を理解していきたいです。