星座の神話って、実は出典がよくわからない話が多い。
少し前の話だが、大平貴之さんが下記のようなことをつぶやかれていた。
こぐま座のしっぽが長いのは、こぐまの尻尾をゼウスが掴んでぐるぐる振り回して天に放り投げたからだ、とかいう解説を何度も聞いたが、それ動物虐待だろ。
— 大平貴之 (@ohiratec_mega) 2016年5月8日
この話は私も聞いたことがあったが、私はこの話をギリシア神話で説明されていることではないのではないかと思っている。我が家には昔の神話好きの影響でギリシア神話の原典的な本(岩波文庫ですが…)があるので、その中から『変身物語』とアポロドーロスの『ギリシア神話』の中で、カリストの物語がどのように語られているか確認してみることにした。
オウィディウス
岩波書店 ¥ 907 (1981-09-16) コメント:ギリシア神話といえば変身物語だと思う。 |
オウィディウスの『変身物語』では、カリストとアルカスはゼウスの起こした風によって天に運ばれたと書かれている。
その時、全能のユピテルがこれを制止した。ふたりをひきのけて、罪を未然に防ぐとともに、突風によって彼らを空中にさらい、天上に住まわせて、隣りどうしの星に変えたのだ(変身物語(上)オウィディウス、中村善也訳、岩波書店 p75)
アポロドーロスの『ギリシア神話』ではそもそも小熊は登場せず、熊に姿を変えるのはカリストのみである。
ゼウスは彼女に恋し、一説でよればアルテミスに、一説によればアポローンに、姿を似せて、嫌がる彼女と床をともにした。ヘーラーに気づかれないように女を熊の姿に変えた。しかしヘーラーは彼女を猛獣として射殺するようにアルテミスを説き伏せた。一説にはアルテミスが、彼女が処女を護らなかったので、射殪したとも言う。カリストーが死んだ時に、ゼウスは赤児をひっさらい、アルカスと名づけ、アルカディアーにおいて育てるべくマイアに与えた。そしてカリストーをば星に変え、「熊」と呼んだ。(ギリシア神話 アポロドーロス、高津春繁訳、岩波書店 p142)
とりあえず私が簡単にテキストを探してみた範囲では小熊のしっぽが長い理由を説明するような記述は見られないことが分かった…のだが、ここで私が問題にしたいのはこの小熊のしっぽの話が一体どこからやってきたのか?ということである。それを知るためにはもっといろいろなこぐま座、おおぐま座の神話を調べないと難しそうだ。果てしない道になりそうだが、まあ、のんびり歩いているうちに答えが見つかればいいな…というスタンスで調べていきたい。
続報があればまた記事を書きます。それではまた~。